かにちゃんずの音楽遍歴

思ったことを書きながら、気に入ってる曲を末尾で紹介していったりします。

終わらないエルパト

30歳になった記念に、何か長く使えるいいものを買おうと思っていた。

 

アクセサリー、バッグなども考えてみたが、アクセサリーはかなりの額を出さないと記念と呼べるようなものは買えなさそうだ。それに上品なアクセサリーをひとつ付けるより、安いアクセサリーをジャラジャラと付けるほうが好みだ。

バッグについても、仕事とプライベートで使い分けているため毎日使うものではなく、なんだか記念というイメージから離れてしまう。

だから、目をつけたのは財布だった。

 

財布、それもガサツなので傷がつきにくく、現金もあまり持ち歩かないのでコンパクトで、長く使いたいのでシンプルな見た目で、でも心踊る要素もあるものを探していた。

そんな理想通りのものあるかいと正直思っていたが、あったのだ。

エルメスに。

恐る恐る値段を確認してみると11万円ほどと、決して安くはないが記念として買うならまあこれくらいは頑張って出そうかなと思えるレベルのお値段だ。

せっかくだからここは奮発してエルメスの財布にしよう!と思い、エルメスの店舗に行ってみた。

バーキンやケリーなどエルメスの有名なバッグを買おうと思った場合

・必ずしも店舗に在庫があるわけではない

エルメスのバッグは基本的にレアであり、一見さんには売ってはくれない

ということから定期的にエルメスに通って在庫の確認をしつつ、買い物などをしてスタッフの方と顔見知りになっておく必要があるらしい。それを通称エルパト(エルメストロール)と言うのだ。

 

エルメスのバッグというと100万円を優に越す代物。店舗に在庫があったからといって、誰がそんなにポンポンと買えるのかといったところだが、世の中には私の理解の及ばないところがあるようだ。

店舗に着くと、入店待ちの方が列をなしている。お客一人一人に対してスタッフが付いてくれるようだ。

自分の番が来たため、おずおずと聞いてみる。

「小さめのお財布を探しているんですが…」

私の要望を聞くや否や、少々お待ちください!!と言い残しどこかへ消えていく。

目を付けている財布も、色や柄などがとてつもなくたくさんあるようなので、自分の気にいるようなものが在庫として残っていればいいなあ。なんて漠然と考えながらスタッフの戻りを待つ。

 

「こちらのご用意がございますが〜…」

 

きたー!ついに私もエルメス所持者になるのかと思い胸を高鳴らせてみたが、なんとなくだが自分の好みと合わない色柄なのだ。せっかく買うのだから自分の好みにぴったりハマるようなものが欲しい。残念だが、その日は購入せずに店を後にした。

まあまた次に行った時にいいものがあるだろう。その時までじっと待つのじゃ。

そう思い、しばらく経ってから時間が出来たので店舗へ立ち寄ってみた。

同じようにオーダーし、スタッフの方の帰りを待つ。

 

「申し訳ございません、本日はお財布の入荷がございませんでした。」

 

あれー、財布も在庫がない時があるんだなあ。まあまた時間がある時に立ち寄ってみよう。

 

「申し訳ございません、本日はお財布の入荷がございませんでした。」

 

また?

てかそもそも在庫がない、ではなく入荷がない、なの?

入荷した日に買いに来ないともう買えないってこと?

てか財布でもエルパトしなきゃならんのかい!!!

 

 

 

エルパトを実施し始めてはや半年。少しでも暇があればエルメスへと駆け込んでいるが、最初に見せていただいた財布以来、一度もその姿を拝んでいない。本当に在庫が全くないのか、はたまた一度お断りするともう二度と出してもらうことはできないのか。

そうこうしているうちに、値上げの煽りを受けて11万円だった財布は13万円へと変貌してしまった。機会損失どころの騒ぎではない。私は一刻も早く手に入れたいと願っているのに。

どうすればお目にかかることができるのか、それすらもうわからない。私がもっとお金持ちの風貌で、冷やかしではないということが身なりから伝わればよいのか。そうするためにはどれほどの額が必要なのかももはやわからない。そしてどうすればそのようなお金が手に入るのかもわからない。

有識者の方、どうか教えてほしい。

 

chelmico「三億円」【Official Music Video】 - YouTube